罪の抑止

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この記事に関して。
(※時間がない人は末尾のまとめだけ読もう)
犯罪に対して、当人がその原因について言及したときに、それが自己正当化だと認識されてしまうことに関してはわからなくもない。
しかし、それは逆説的に、ある犯罪が発生した背景を正しく把握して、再発を防止するという施策が甘かったということなんじゃないかと思う。
「罰則を科す法律を制定する」
そうすれば解決すると思っていた。
だけど、渡邊氏の言説を借りるなら、それこそお仕着せの恐怖による締め付けでしかなく、「何故やってはいけないのか」の根本的な理解に繋がらない。理解されなければ、「いかにバレずにそれを行うか」という方向に考える者だって現れるだろう。もちろん、剥き出しの悪意に対抗するための法は必要だし、行ったことの報いを受けるのも当然のことだが。
 
つまりは、これまでの日本の教育の方法論、マイナスを0にするために言うことを聞かせるというやり方が、大きく間違っていたということに関しては、昨今の教育論から照らし合わせてみても(子供に言ってはいけない〜とか)認めざるをえないんじゃないかということ。
少し陰謀論めいてしまうけれども、そうやって教育した人間は、言われたことの理由を問わないという習性があるように思う。「なんで?」「なんでも!」とか「どうしてですか?」「俺がそう言ってるからだ!」など、頭の悪いやり取りが繰り返されていたという事実は否めない。そしてそれが、為政者にとっては都合がいいだろうなということは、想像がつく。
 
「人材教育」などと言われ、誰しも子育てや、仕事で後輩に仕事を教える機会があるにも関わらず、伝達、教育のメソッドを習得させる機会がない。そして、「イノベーションだ」「コンテンツ産業だ」と声高に叫びながら、「何故?」という発想の芽を、プライマリーな教育の段階で多くの親や大人が詰みにかかる。
判で押したような、同じような人間が量産されることに対する警鐘は、結構以前から言われていたが、管理のしやすさという誘惑に、大人が負けたんだと自分は考える。
アインシュタインは科学で名を成したが、幼少期は問題児だったことで知られている。多くの人が、子供としてのアインシュタインを求めていない。自分の人生の優先など、いろんな理由はあるかと思う。
 
かなり話が脱線したが、要は犯罪というものがもし異常者が引き起こすものだと仮定するならば、「異常になってしまう理由を取り除かなければならない」というところに、やっと手がかかったような気がする。そしておそらくその「異常になってしまうことの回避」が、例えば日本が戦争に突入しないだとか、個々人の幸福の向上だとかに繋がっていくと思う。
その意味で、これからの社会学者の役割、そして責任は大きいと、個人的には思っている。政治家は専門家ではないので期待しない。きちんと専門家が青写真を描いて、そこに経済が絡むことで、こうした諸々は実現されていくように思う。正しく実現するには、警察やマスコミ等の力も必要だろう。
 
では、「あ、自分も渡邊氏と同じだ」と思った人はどうすればいいのか。人の人生なので「こうしろ」というのはおこがましいし、上から目線のように感じてしまうかもしれないけれども、誤解を恐れず言うのならば「正しくないと感じる習慣をやめること」が第一なのではないかと思う。実施すべき例を挙げると「自分を否定しない」「傷を何度も掘り返さない」「必要以上に他人を恐れず、必要以上に信用しない」「他人と自分を比べない」「壮大な目標を立てて絶望しない」「頑張っていいことと頑張ってはいけないことを見極める」「わからないことは信用できる人に聞く」そんな感じだろうか。
個人的には、まず「なんでもいいから自信をつける」というのがあって、フルマラソンをするのはどうかなと思っている。個人でできるし、世の人が思うほど大変でもない。その割に「凄い」と思われる、割とお得なアクティビティだと思う。心身相関で、ストレスも解消され頭がスッキリするし、疲労できちんと夜眠れるというオマケもついてくる。
また、自分自身をロジカルに分析することが、傷の軽減に繋がるだろうことは、渡邊氏のテキストを見ても感じるところだ。ただ、彼はこれまでの自分の発言や思考の筋を通そうとして、「自殺して終わらせる」という意識に囚われている感はあるけれども。
 
いつも長文だから短く纏めろと言われるので纏めると、
・犯罪は法を厳しくしたから減るというものじゃない
・犯罪が発生する根本原因の究明とその改善が必要
・今回の、根本理由が教育にあるという指摘は大きくは外れていない
(もちろん、抑圧された人間が100%犯罪を犯すということではない)
・教育に関して、各々がよく考え、見直さなければならない
・根本原因の究明、改善というプロセスは、犯罪抑制以外にもメリットがある
・これらを正しく実施するためにも、社会学者の活躍と、各公器の協力が必要
・渡邊氏と似たような境遇だった人は、とりあえずフルマラソンしたらいいかも
 
そんな感じ。
ラソン大会でお会いしましょう。