経済活動と芸術

芸術作品に金を払わんとか、プロだからこそ、きちんとお金を取りましょうという話がありました。
何故報酬を貰わなければならないかといえば、そこで報酬が適切に発生しない場合、負の価格競争が始まり、その分野全体がマイナスになってしまうからです。アニメの制作が、最初に格安で作ったが故に、厳しい環境を強いられているということは、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。原作や権利ビジネスは儲かるかもしれないですが、制作、BDディスクとか売れないと殆ど儲かりません。

こういったものの売買に関わる問題は、いくつかポイントがあります。
なかには、経済活動全般の問題も含まれますが。

  • 心意気や信頼

値段表示がない寿司屋ありますよね。それは、ネタの単価ではなく、「心意気」だとか「信頼」で取引をするからだと思います。つまり、誰でも一律に同じ値段ではなく、そこに付加価値がある、ということですね。また、要求額に対して、「釣りはいいよ」というのも、こういうことに含まれるかと。上方修正の限りにおいて、買い手が値段を設定してもいいということです。

  • 「購買」とは「投資」でもあるということ認識の不足

これは、「お客様は神様」気質で、供給側が努力で何とかするのが当たり前という、際限ない価格競争を肯定している部分があるからだと思います。自身の労働の場においても、人件費削減、コストカット、ということばかり言われているなかで、それをあらゆる経済活動に適応しようという思考もわからなくはないですが、例えばその業界が共倒れになったりだとか、失業者が出たりだとかが発生し、そのために税金を投入されたりするのだとすれば、結果間接的に損をすることになるわけですが、ということに無自覚なんだと思います。
アイドルのCDの売買などは、この部分を露骨に見せて煽っていますが、特典をつけることで、「適切にお金さえ払えばサービスを受けられる」という、従来的な購買になってしまうこともあるので、どこまでが「買い支え」なのかというのは難しいところです。

  • 生活必需品ではないものに、価値を見出さない人がいる

確かに、第一次産業のような、必須性はないですが、豊かな人生に必要だという感覚は、なかなか一般化されるものではなかったりします。

  • 生産(制作)の構造に対する無理解

あらゆるものは、いきなり商店に並ぶのではなく、作り手が存在しますが、その作り手の存在や、作り手の生活まで想像が及ぶ人は少ないです。目の前の商品と価格しか見ない人が大半だと思います。音楽も、youtubeで聞けるからいいとしてしまったら、音楽を提供している人達の生活は? と本来ならなるわけですが、そのことに対して、「自分でない誰かがなんとかしてくれる」という、漠然とした、消極的人任せになっていることが多々あるように思います。

  • 上記を考えることが面倒くさい

これが一番決定的ですが、考えずとも影響がないのだとすれば、多くの人が考えない、考えても深くは考えない、ということが多いように思います。政治について、とかが顕著ですけども。
こういった複合的な要因で、「購買」、あるいは「経済活動」が、歪められてきているように思います。
あなたの好きなものにお金を払い、そのことについて考え、ときに意見を言ってください。それが、あなた好みの世界を継続させたり、生み出したりするはずです。