人口増減とライフコスト

日本人として、「人口1億2000万」ってのが割と普通に感じているところがある。しかし、江戸後期から明治初期まで(つまりたかだか140年前くらいまで)、日本の人口は3000万人くらいだった。
他の国を見てみると、イギリスが1870年に3000万だったのが、今は6000万、他のヨーロッパ諸国もだいたい同じで2倍程度。
移民系の国、アメリカ、オーストラリア、ネーデルランドなんかは、出生率だけではなく、流入で人口が増えているので大きく人口が増えている。
世界人口は、1870年と比較して5倍以上(12億から66億)
その人口増に一気に転じた国としては、アジア、アフリカの途上国。なかには、10倍近い増え方をしている国も。(タイとか)
産業革命などによる生産性の向上が大きな要因。だから、早期に産業革命を体験している欧州は人口がそこまで増えない。またイギリスを例にするならば、18世紀の後期に産業革命があったわけだけども、1700年の人口と1800年の人口では、倍以上違う。
でもって、今人口減になっているポイントとしては、人が生きていくうえでの、ライフコストが、生産性向上のスピードを上回ったことにあると思う。暮らしの必需品となっているもの、家電や通信費、食の安全に対して払うお金、医療やインフラ、治安など、社会保障関係。そういった「手厚い保障」が、人が一人ただ生きていくことにかかるコストを跳ね上げている。
ブータンはこの辺割り切って、社会保障とかじゃなくて、心の平穏を重視しようぜみたいな方向に舵をきってる感ある。同様に、生産性の向上も、さほど進めていないようだけど)
あ、ちなみに見たのはここです。
http://www.geocities.jp/kingo_chuunagon/kikaku/kokuryoku.html#population
個人的な感想だと、「オプションで」みたいなかたちで費用が嵩んできた感があるけども、いずれも多くの人が「欲しい」と望んだ保障でもあるので、なんともといった感じ。
今問題になっているのは、実は「人口減」ではなく、「人口における非労働者増」なんだと思う。年齢や、ドロップアウトすると復帰できないような社会の仕組みだとかそういうもの。
なので、まぁ我々の世代も含めですけども、定年後に、誰でもできるような仕事に再就職するという事態は、避けられないんじゃないかなー。で、それを行うためにも、仕事を高度化しない、個人の能力に大きく依存しない仕事を増やすということを、していかなければならない気がしています。なんでもいいから働かせて、働かせることで資産を分配しつつ、税金を徴収するということですな。
それともう一つ、人口として、どのくらいが適正なのか、あるいは、ライフコストと生産力がつりあっているかという試算って、これまでされているのかなーというのがあります。さっき挙げた、人が一人生きていく際にかかるコストと、生み出す生産力とのつりあいなど、計算すれば割と出てくる数値のように思います。それを指標に、では社会保障をある程度切り捨てて負担減をした方がいいのかなどの判断材料にしていければいいんじゃないかと思います。
ま、それって選挙での得票を勘案しない、純粋な「政治家」がいないと、使えないものですけどね。